2024
04.29

「ちゅらさん」がいろいろと懐かしい

八重山, 台湾

 「ちゅらさん」第4週(20)の再放送はいろいろと懐かしかった。(4月29日お昼の放送)

 沖縄の自宅から姿を消した「おばあ」を探しに、小浜へ向かう「えりぃ」と「勝子さん」が降り立ったのは、かつての石垣空港。さらに、おばあが小浜島へ行く時に利用したのは飛行機ではなくて、船。つまり、おばあは那覇からフェリーに乗ってきたのだ。有村産業の「飛龍」や「飛龍21」が運航していた時代ならではの場面設定だ。

 ドラマの流れをみていると、「おばあ」は沖縄からの船でそのまま小浜に到着したということになっているようだ。現実の世界では、フェリーで石垣島に着いた後、小浜行きの高速船に乗り換えることになるので、小浜港に「おばあ」を目撃した人がいたり、「えりぃ」と「勝子さん」、「おばあ」の3人がそろって石垣から小浜行きの高速船に乗ったりといったことが起こりうる。脚本では、このあたりのリアルをうまく描きかえているため、フェリーの存在がちゃんと浮かび上がっている。

 小浜島の墓で「おばあ」が
「船は片道5100円」
 というセリフも、なんだか生々しく響いた。石垣と那覇の間を行き来するのに必要な運賃がこの値段だ。そういえば、筆者も、沖縄へ行く取材費を節約したくてフェリーを使ったことがある。
 さらに、「おばあ」に
「帰りはみんな船だからね」
 と言い渡された「えりぃ」と「勝子さん」は、声を揃えて
「えー」
 とリアクションする。
 時間はかかるし、船酔いするかもしれんし。不満そうなイントネーションだ。

 有村産業がフェリーの運航を取り止めたのは2008年6月のこと。すでに15年以上も経過している。お盆や年末年始には、フェリーで那覇との間を行き来する人がターミナルにたくさんいた。修学旅行でフェリーに乗ったという最後の世代は、今何歳ぐらいになっているのかな。

 台湾出身の「担ぎ屋さん」も、フェリーあっての存在だった。なんだかいろいろと懐かしい。


写真は石垣港に停泊中のフェリー「飛龍21」=2008年2月19日

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