2023
12.23

石垣島の路線バスで訪ねる「台湾からの移民の地」

八重山

 「石垣島に行くつもりですが、石垣島にどこに行けば台湾の人に会えますか」

 ときどき、こんなふうに尋ねられることがあります。神戸や横浜、長崎のように、中華街があれば、そちらをご案内すればいいのですが、あいにく、石垣島にはそのようなスポットはありません。そこでお勧めしたいのは、台湾から石垣島にやってきた人たちが最初に住み着いた名蔵(なぐら)や嵩田(たけだ)といったエリアをバスの車窓から眺めるというものです。

系統⑦吉原線へ

標高202メートルの嵩田山を望む夏の風景
2023年7月11日撮影

 石垣島で路線バスを運行しているのは東運輸という会社ですが、東運輸が運行する路線バスに系統⑦吉原線という路線があります。この路線は、石垣島中心部にあるバスターミナルと川平や吉原といった地域を結んでおり、名蔵と嵩田の両地域を通過するルートになっています。川平は石垣島を代表する景勝地なので行ったことがある人もいると思います。「川平」と書いて「かびら」と読みます。美しい海を眺めたり、「グラスボート」というレジャーボートの船底のガラス窓からサンゴを見たりすることができるスポットです。

 バスの時刻表をよく見ると、往路と復路のコースが少しだけ違っています。往復ともに「名蔵」というバス停を通過しますが、復路では「名蔵」を出た後、往路と異なるコースを走り、「名蔵校」「嵩田」「大同」というふうにたどっていきます。そして、この辺りこそが、石垣島の人たちが定着したエリアなのです。

youtu.be

 実際の動画はこちらからご覧いただけます。2022年11月18日に撮影したもので、4分51秒に編集してあります。名蔵川、名蔵地区、石垣島製糖、名蔵小中学校、嵩田地区、パイン畑、サトウキビ畑、マンゴー栽培のハウスなどが見えます。

●東運輸の路線バスに関するホームページ

www.azumabus.co.jp

吉原線の時刻表は「広域時刻表」というところに書かれています。

5日間フリーパスを活用

 実際に乗ってみると、吉原線のバスは、バスターミナルを出発した後、川平や吉原を経由してそのまま復路のコースに入り、バスターミナルまで戻ってきます。出発地点で乗り込んだ後、一度も降りることがないまま、名蔵・嵩田地区を車窓から眺め、出発地点に戻ってくることができるのです。私はバスターミナルから乗る時、運転手さんに「このまま一回も降りずに、バスターミナルに戻ってきます」と伝えるようにしています。

 料金はどうするかというと、路線バスの車内で販売している「みちくさフリーパス」という5日間のフリーパスが便利です。料金は2000円で、東運輸が運行する路線バスなら5日間、乗り降り自由となります。割安であることはもちろん、乗り降りのたびにいちいち運賃のことを考えなくてもいいのが便利です。(知らない土地で路線バスを使うとき、運賃の支払い方法でとまどうこと、多いですよね)

●東運輸の路線バスのチケットに関する情報

www.azumabus.co.jp

 このフリーパスを使えば、名蔵・嵩田へ行く前に適当なところで乗り降りすることもできます。たとえば、系統⑨川平リゾート線で午前中に川平へ行き、その後、「川平公園前」のバス停を12時53分に出発する吉原線に乗り、バスターミナルを目指しながら、名蔵・嵩田を車窓から眺めるという方法があります。

 吉原線は1日2便の運行です。この点に注意しながら旅程を工夫してみるのも、旅への期待を膨らませる下準備です。

(バス路線に関する情報は2023年12月21日現在です)

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