12.31
「神様が選んでる」の意味/石垣島の台湾人と対話する
アイデンティティ, 八重山, 八重山の台湾人, 台湾, 土地公祭
石垣島で台湾系の人たちと接していると、台湾でよく知られた神様のことがときどき話題になり、しかも、重要な節目が神様と関係していることがあり、門外漢の私としては、うまく理解することができないことが多い。そこで、台湾滞在中は、台湾のお廟で行われる節目の行事を参観したり、通りがかりのお廟にふらりと立ち寄ったりしながら、神様との距離を縮めるように努めている。神様の名前をたくさん覚えるとか、お廟で繰り広げられる伝統的な神事をかっこいい構図で写真に収めるとか、お廟への「近づき方」は多種多様だ。要(かなめ)は、そこに集まっている人たちの胸の内にどこまで近づけるかである。

敬意
石垣島で台湾系の人たちと接し、取材や旅行を通じて台湾滞在を繰り返してきた結果、台湾の漢族の人たちの信仰に対する私の立場は「私自身は、神様を信じていると言い切れるほど敬虔ではない。私自身がどうかということより、だれかが神様に向かって祈る姿勢は敬意を以て接したいと思っている」というものとなってきている。
こんな私が、石垣島に住む敬虔な台湾系の女性(仮にAさんとする)の話をすると、たとえば、次のようになる(実際の会話の内容を、趣旨を変えない範囲で一部修正しています)。
神様が訓練させている
私)この先、石垣島の福徳宮がどういうふうに発展していってほしいか、何か希望はありますか?
A)そうね、次の世代がうまく引き継いでくれればね。
私)最近、炉主(神様の世話係)がすごく若返っていますね。
A)はい。土地公の神様も、若い人が炉主として育つように選んでるんですよ。
私)ああ、なるほど。
A)(土地公の神様は炉主となった若い人を)一人ずつ訓練してる。誰が当たるか(誰が炉主に選ばれるか)わからないけど、神様が素晴らしいと思う人を選んで、若い子を選んで順番に(炉主としての訓練を)させている。
私)次の世代の人たちがちゃんと引き継いでいけるように神様が選んでるってことですね。
A)そうです。はい。
イメージを持てるか
このやりとりは、石垣島の土地公廟を将来にわたって維持していくにはどうすべきかということにつじて話をしている。Aさんの発言は、人と神のかかわりに言及しながら解決策について語っているところがポイントある。このやり取りで私が問われていたのは、台湾系の人たちが歩んできた道のりや、台湾的なモノやコトに対してどこまで具体的なイメージを持てるかという点だったと思う。
「だれかが神様に向かって祈る姿勢は敬意を以て接したい」という考え方は、生身の人間だけではなく、目に見えない存在を重要なステークホルダーとして捉える枠組みに寄り添うということにつながっていく。ある台湾系三世(仮にBさんとする)のエピソードが、ちょうどそのようなケースだといえる。Bさんが祖母(仮にCさんとする)の信仰にたどり着いたというエピソードは、私にとっては、やはり、目に見えない存在について意識させられる機会となった。
(つづく)


