2026
04.25

キーパーソンのアレンジで取材

インタビュー, 台湾, 宮古, 疎開

 随分と久し振りに首里金城町の石畳を歩いたのは、インタビューの帰り道のこと。お話を聞かせてくださったのは、幼いころに台湾を体験した男性Aさんである。姪のBさんがキーパーソンとなり、取材をアレンジしてくださった。「家族で食事をしながらお話ししましょう」というのである。

 このご一家の台湾体験については、半年近く前に取材を開始し、これまでは、戦後世代が上の世代の足取りを追体験する様子を取材してきた。台湾を実際に体験した世代から直接話を聞くことで、戦後世代への取材が意味のあるものになっていくというわけである。この日のインタビューは私にとっては「満を持して」と表現するのにぴったりの取材だった。

思い違いやむなし

 戦前のことを実際に体験した人から話を聞くチャンスは、どういうわけか、私の場合は恵まれている。この1年間ですでに3人目である。そのなかでもAさんの場合は、近しい家族のサポートなくしては成り立たない取材だった。有難いことである。

 だれだって、年齢を重ねていけば、記憶が薄れることや、思い違いを起こすことはやむをえない。言うまでもないことだが、文献やほかの証言者の話と相違があったとしても、聞き手である私が相手を咎めだてするようなことではない。仮に誤りがあった場合、それをそのまま媒体で公表し、取材に協力してくださった方に恥をかかせるような結果を招いたとすれば、周辺取材に手抜かりがあり、誤りを誤りのまま公表した側こそが恥じるべきだ。

割り込んでもらう

 インタビューでお聞きするのは80年以上も前に起きた出来事である。どこまで周辺を取材しても万全とは思えず、どこまで取材すればいいのかと悩むことも多い。その点、近しい家族が同席してくれると、なんとも頼もしい。今回は、Bさんに適度なタイミングと距離感でインタビューに割り込んでもらった。すると、Aさんにエピソードを思い出してもらったり、Aさんがかつて語っていたことがあるという出来事を忘却していることを確かめたりすることができ、文章にまとめる時の筆致があらぬ方向へ一人歩きしてしまうのを防ぐことができた。

 そして何より、同席した家族が近況を語り合ったり、互いに年齢を重ねたことを笑いあったりしている様子が、よかった。一対一で話を聞こうとすると、インタビューのテーマに集中できる半面、緊張感が邪魔をして口が堅くなることがある。肩の力を抜き、リラックスしていたほうが、記憶のアウトプットもスムーズになるに違いない。こうしたことを全部ひっくるめて、キーパーソン様様(さまさま)であった。

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