2025
08.25
08.25
「栄丸」の犠牲者を慰霊
「栄丸」は、戦後の台湾から引き揚げる人たちが乗り込んでいた船です。1945年11月1日、栄丸は台湾の基隆港を出港し、その後、遭難しました。乗船していたのは沖縄の宮古や八重山の人たち。戦後、台湾から自分の島へ戻るための栄丸に乗っていました。遭難の原因は機関故障や悪天候だと考えられています。船は岩場で波にもまれ、大破しました。死者は100人を超える可能性もありますが、記録がなく、乗船した人の数も犠牲者の数もはっきりしていません。遭難場所では台湾の人たちが救助に当たり、沖縄へ戻った生存者が再びこの地を訪れ、救助した人と再会したケースもありました。

宮古島の泡盛
この遭難事件は、「沖縄県史」に記述されるなど一定程度知られてはいますが、事件の発生場所で犠牲者を弔うようなことはほとんどありません。こうしたところ、2025年8月24日、沖縄からやってきた大学生のグループが研修の一環で現地を訪問し、沖縄風の線香と、ウチカビ(神仏に捧げるお金として沖縄で使われる紙)を捧げて追悼の儀式を行いました。栄丸には宮古島出身者が多数乗り込んでいたことから、お供えの酒には、宮古の泡盛「菊之露」が用意されました。
遭難事件が起きた外木山海岸では、美しい海を見渡すことができます。釣りをしにくる人も多く、今では人気の行楽スポットになっています。


